松本清張全集13

松本清張全集13「黒い福音」を読んだ。

併録は「アムステルダム運河殺人事件」「セント・アンドリュースの事件」「『スチュワーデス殺し』論」だ。

どれもこれも、なんていうのか実録もの?半ドキュメンタリというか…実際に起こった事件・疑惑について真相を類推して組み立てて、小説化しているという…名前とか架空にしてあるけど。

「黒い福音」がかなりの長編。
ある教会の繁栄と虚構。実はとんでもない神父ばっかりで…
実際の事件をもとに小説化しているようだ。もとになった事件は「『スチュワーデス殺し』論」で展開している。

戒律の厳しいはずの神父たちが、本当はヤミ取引で資金稼ぎをしつつ女性と関係を持ったりと好き放題である。それで、その挙句にスチュワーデスが殺されて、嫌疑がかかった神父の一人を海外に逃亡させる。

とんでもないことである。

「黒い福音」は最初、教会側から描かれて後半は刑事側からになる。
そういうのは好みだけど、最後はあれだ、ちゃんと悪に鉄槌をくだしてほしかったものだ。実在の事件がもとになってるからしょうがないと思うが。

「『スチュワーデス殺し』論」では実名登場で松本清張自身の推理を述べている。これはこれでセットになって面白いと思う。

この事件について松本清張がかなり首を突っ込んでいる気がするが、「『スチュワーデス殺し』論」の中で書いてあるところには、その嫌疑のかかった神父を信者はかばうのだが、その理由。「神父さまは目がきれいで澄んでいるから無実だ」という信者の声に、松本清張が「率直に言って、そのあまりの客観性のなさに驚いた」と書いている。それで「カトリックになんの恨みもないが、信者の盲信ぷりにカチンときたので書くことにした」と結んでいる。

ここまで主体的に松本清張も書くくらいだから、当時は本当にあきれる人が多かったのでしょうかね。
それにしても、海外に逃亡してしまった神父はどうしてるのでしょうか。

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