桜庭一樹「私の男」を読んだ。
直木賞受賞作。題材が近親相姦で話題になった。
読みましたよ。電車の中でこいつを広げるのは少しためらうものがあったよ。
面白かったとはいえない。あまり良くなかった。
「赤朽葉家の伝説」の面白さと対極にあるなと感じた。テンポが。とにかく。
親子の近親相姦で、時代を遡っていく構成。
長い物語なんだが、実際の文量としては少ない。
この、ボリュームが抑えられてるところで、読者としては想像するしかない部分がかなりあり、そのわりには描写はくどく、冗長な風景描写とかしつこく続く。場面をちょっと切り取ったら時代がどーんと遡るので、テンポが悪く感じられた。とりあえず楽しくは読めない。
題材が悪いとは思わない。
でもなあ。近親相姦に至る理由の根っこのところが、「愛し合ってるから」というのがなあ…それじゃあまりにもつまんないですよ。延々と、愛し合ってるからって近親相姦を全編…しかもテンポ悪いから伝わってこないし。
なんか、賞を狙いに行った感じがする。
あえてこんな題材で、と。
ちょっといまいちかなあ。