バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を観た。

Birdman: Or (The Unexpected Virtue of Ignorance)

タイトル長いな。これは「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」と関連あるのだろうか。

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作で、アカデミー作品賞受賞。そうですか。でも脚本はギジェルモ・アリアガではないのだ。

出演者は豪華です。マイケル・キートン、エドワード・ノートン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ、ザック・ガリフィアナキス、アンドレア・ライズボロー、エイミー・ライアン…凄いもんです。皆主役級ですな。

本作はワンカットと思えるような長回しを駆使し、巧みに繋いでいることが売りだったらしい。内容というのはまあ過去にバードマン(バットマン)での成功体験が捨てきれず、これで再起をかけようと舞台に挑むマイケル・キートンが主役。その彼を中心として舞台の稽古だったり本番だったり街中だったりを、縦横無尽にカメラが駆け巡り、現実と虚像がわからなくなってくるような、そんな意味不明な内容に仕上げている。

なんというか、面白くなかった。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥはギジェルモ・アリアガという優れた脚本家とのタッグをやめて「BIUTIFUL ビューティフル」で自身が脚本も兼ねるという行動に出たが、これはこれで良い作品だった。しかし本作は少しも面白くなかった。
その「面白くなさ」が何かというのをうまく表現できないが、ワンカットでやることで面白さの焦点がそこにあってしまうというデメリットが大きくなかっただろうか。

ワンカットだから面白くなってたということがなく、むしろ作劇の制約が発生していた。舞台の裏事情とか他に優れた作品があるしなあ。

ワンカット(ワンショット)ものといえばこれまでもあった。「ブラック・ハッカー」「サイレント・ハウス」「タイムコード」「スピーク」、古くはヒッチコックの「ロープ」が代表作だろう。「ロープ」はフィルム交換でどうしても切れ目があるが、それ以外は本当にリアルタイムで窓の外を夕焼けに変化させたりしてた。
部分的なフィーチャーでも「瞳の奥の秘密」でのサッカースタジアム、アルフォンソ・キュアロン監督作「トゥモロー・ワールド」「パリ、ジュテーム」「ゼロ・グラビティ」もそうだ。

キュアロン作で使われるワンカットシーンはどれも好きだが、ワンカットならではの成功パターンは「サイレント・ハウス」ではないかと思う。あれはエリザベス・オルセンの強烈さが目立ってしょうがないわけだが、後になって考えるとワンショットとホラーがとても相性良いと思えたのです。「息を呑んでしまう」という。

ということで本作はワンショットの魅力からいっても「サイレント・ハウス」に及んでいなかったし、エリザベス・オルセンが出ていないならなおさら無理筋というものだったという結論か。

2014年(第87回)アカデミー賞
作品賞受賞
主演男優賞ノミネート(マイケル・キートン)
助演男優賞ノミネート(エドワード・ノートン)
助演女優賞ノミネート(エマ・ストーン)
脚本賞受賞
監督賞受賞(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)