昼過ぎ、「笑っていいとも」も終わったことだし、チャリンコ「ペケペケ号サード」にまたがった。
とりあえず巣鴨まで行く。隣駅だ。ここで大きい通りに出る。
あとでわかったが、これは白山通りだった。この道に沿って北上する。
前回の教訓を生かして今回は「なるべく大きい通りに沿って走る」ことに決めたのだ。そして今回も別段、目的地などない。
コンビニでエビアンを買う。それをグビリとやりながら、こういう時、職務質問とかに会ったらどう言えばいいんだろうかとか考えた。
白山通りを北上する。やがて何だか殺風景なところにやってきた。走っているのは車だけ。人が誰もいない。しかも歩道も途切れた。
「ここから先は車だけ行ってよいのです」何だかそんな雰囲気に少し不安になる。で、左に折れて細い道に入る。
やがて商店街みたいなところに出た。駅がある。板橋駅だった。
「板橋駅か。・・・板橋駅ってどこなんだ?」
このへんには知識がない。板橋駅って池袋の北だったっけか。埼京線?
そんなことを考えながら商店街を適当に走る。やがて違う駅が。
「しもいたばし」また板橋か。つうかここはどこなんだ。
明らかに迷ってはいるが今回は大丈夫だ。と自分に言い聞かせながら適当に走る。
やがて見覚えのあるような風景。「あ、やばい」と思った。
そこは池袋東側の、あの五叉路だか六叉路だかの交差点だった。「あ、やばい」と思ったのは、つまり「知ってるところに出てしまった」からだった。迷走じゃない。
しかも時間にして30分ほどしか経ってない。どうする。
結果として明治通りを南下し、目白通りまで来た。
さあ、ここからだ。西に行くか東に行くか。西に行くと目白通りというくらいだから目白駅に出るのだろう。そのあと中野とか行くのだろう。しかしそれでは大塚と逆方向になってしまう。
帰りやすいほうがいいなあと思い、ここで東に向かった。
するとすぐに突き当たり、南北に道が分かれる。南に。
予想通り、ここで江戸川橋に出た。前回はここから南に行き、皇居を回るはめになったのだ。今回はここで東に向かった。心の中では「いいぞ!」と思っていた。「もう江戸川橋は俺のもんだ」とか考えたりもした。何だそれは。
ここからどう進んだのかよくわかってない。神田川に沿って走ってるはずなんだが、自転車で通れない道があったりして、ちょろちょろ曲がったりしながら適当に走った。
「何とかなるだろう」と漠然と考えつつ、「水道橋か」「神保町か」「御茶ノ水か」と観光気分でぶらぶらと時間が過ぎていく。
やがて、それまでの「綺麗な女性がたくさんいる」雰囲気とは明らかに違うところに来た。「さくらや」とかのビルがドカドカ建っている。「?」
気がつけば秋葉原だった。どういうことなんだこれは。
秋葉原まで来る予定ではなかったし、何となく遠いところまで来てしまった気がした。
時間的にも、ここから戻る方向で行こうと、北上する。北西に向かえば戻れるのではないかという考えで。
不忍通りを北に向かい、千駄木あたりまできたころ、男に声をかけられる。「ちょっとおたずねしますが・・・」また道をたずねられるのか俺は。しかも自転車で走っているのに。結果的に無視してしまった。
その後、田端に。「ああよかった。これで・・・」とにかくJRぞいに進めば大塚に着くだろう。そう考えて何を思ったか田端の北側に出る。大塚の北側に行きたいから、線路を左に見ながら西に進めばいいやと考えたのだ。これが間違いだった。
そのうちに「尾久駅」というところに出る。「?」・・・駒込のはずじゃなかったのか。どういうことだ。
あとでわかったのだがその線路は山手線ではなかったのだった。不安をかかえつつもそのまま進む。やがてまた駅が。
「梶原駅」とある。しかし雰囲気が違う。「これは・・・都電荒川線じゃないのか?」そう考えた。「ということはこれに沿って進めば大塚に・・・?」
賭けてみることにした。それで荒川線に沿って走ることにした。
しかしまさか線路の上を走るわけにはいかないので、なるべく線路を見失わないように近い通りを走るのである。しかし荒川線は何ていうか強引なところを走る電車なので、かなり苦労する。
それまで道沿いに順調に走っていたかと思うと、電車は住宅街の中にすっと入っていってしまう。どこから追いかければいいのだ。
やがて王子駅に。つうかここはどこなんだ。王子か。
そんな感じで疲れきったころ、やっと大塚に辿りついていた。
前回に比べれば小規模だったが、迷走だったなあ。