悪女について はじめに

「悪女について」は有吉佐和子著、新潮社から出ている作品。

手元にある単行本の奥付を見ると、昭和53年9月初版。定価850円とある。
この単行本は楽天フリマで探し、古本屋から購入。まだ探せば売ってるところも見つかるだろうけど、もし興味があって読むのだったら文庫版でじゅうぶんだろう。

文庫版については、こちらも奥付を見ると、昭和58年3月初版。定価440円とある。
今はもっと高くなってますな。まだ普通に書店でも入手できるでしょう。

高校生のころだったか、初めて読んで、えらい面白いのに驚いたのを覚えている。そして、有吉佐和子のほかの本も読んでいくことになるのだが、有吉佐和子がすでにこの世の人でないということを知るのは、もっと後のことだ。

何度か読み返していくうちに、時々この本をなくしてしまうことがあった。たぶん人に貸したりとかでなくなるんだと思うけど、その都度、本屋で購入しなおして読んだのでした。

そして最近、本屋で購入が難しくなってきたのでネットで探して買うことに。その際、どうせなら単行本の初版もほしくなり、購入。
単行本は上下二段組になっていて非常に読みやすく感心した。

さて、この「悪女について」は、悪女=富小路公子という女性について、二十七人がインタビュアーに語る、という構成になっているのだが、彼らの供述は時として食い違うのである。
富小路公子を良い人だと言う人もあれば、ひどい奴だと言う人もいる。

作品の中で死人が出るわけでもない。(厳密に言うと、富小路公子本人が謎の死をとげるので、その意味では死人が出ているのだが)
この本はミステリーに分類されると思うが、じゃあどこがミステリーなのかと言えば、富小路公子の死因を明らかにするミステリー、というわけではないのだ。

富小路公子がどういう人生を送ったのか、それが食い違う証言の中から浮かび上がってくるところが非常に面白く、そこがミステリーなのだ。

で、じゃあこのページで何をやろうとしているか、ということだが。

俺がこの「悪女について」を読むたびに思うのは、「この富小路公子は、いったいどんな忙しい生活を送っていたんだろうなあ」ということだ。
本書を読めばわかることだけど、この富小路公子は中学生高校生のころから、様々な人に嘘をつき、財を築き、そして色々な男性と関係をもって年齢をいつわって登りつめていくわけだが、それにしても「物理的に可能なんだろうか?」と思うくらいのハードスケジュールである。

この本を読んで、富小路公子の年表を作りたくなったのだ。

有吉佐和子について、また「悪女について」の解説など、多くのページで紹介されているが、本作品をそのようにマニアックに追うものは他に見つけられなかったので、ここでやってみることにする。

注意!
あくまで「悪女について」を読了後を前提としてネタばらしをしています。
ここまで読んで、「ちょっと読みたくなってきたなあ」と思った人は、まず読み終わってからにすることをおすすめします。

悪女について (新潮文庫 (あ-5-19))
有吉 佐和子

悪女について (新潮文庫 (あ-5-19))
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