秘密と嘘

秘密と嘘

「秘密と嘘」を観た。

Secrets & Lies

ヴェラ・ドレイク」「ハッピー・ゴー・ラッキー」「家族の庭」のマイク・リーによる監督作で、代表作であろう。今まで観る機会がなかったがようやく観た。

検眼士をしている黒人女性が自分の出自を確かめるべく申請をして、産みの母親を探し当てる。探し当てられた白人中年女性は当惑するも、少しずつ事実を受け入れる。黒人女性もコミュニケーションをとるうちに次第に打ち解けていき、二人は頻繁に会うようになるが…という話。
家族のパーティに黒人女性を連れてきて、そこで結局はすべてを打ち明けることとなり、場がえらく荒れる。でも真実を知ったので皆がそれに向き合い、穏やかに終わるといった結末。

「ヴェラ・ドレイク」や「家族の庭」は力作であったし見応えあった。ただ監督のマイク・リーは脚本を用意せず役者のアドリブ(即興)で作品をつくりだすということで、そのアプローチにとっても否定的な俺だが、本作でも果たしてそのアプローチで作られている。でも脚本賞ノミネートってどういうことだ。
本作はそんなに面白くなかった。家族のパーティで荒れるまで退屈だった。

即興に否定的なのは、面白くなる確率が低いからだ。
うまく転がれば予想もしない温まり方をすると思うが、確実にうまく転がせるのは不可能だ。脚本があってこそコントロールできるものだと思う。
あと、アドリブではその場面の熱量というか技能の総量に限界があると思う。演者の能力に依存しておりそれぞれのやれる範囲でやる。あと会話のキャッチボールは、相手の言うことを聞いて応えるために日常にとても近づくリアル感は出るが、決してテンポが良くはならない。
あとストーリーテリングで話が面白くならない(脚本がないから)し、演者が怒ったり泣いたり喚いたりする確率が高まる。

とにかくアドリブをやりたいなら演劇でお願いします。演劇において脚本のない即興劇というものがそれなりの居場所を確保している理由は、ノンストップだからだ。それは緊張感がうまれるものだ。撮り直しや編集ができる映画でそれをやってどうすると思う。

1996年(第69回)アカデミー賞
作品賞ノミネート
主演女優賞ノミネート(ブレンダ・ブレッシン)
助演女優賞ノミネート(マリアンヌ・ジャン=バプティスト)
監督賞ノミネート(マイク・リー)
脚本賞ノミネート

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