ミッドナイト・スペシャル

「ミッドナイト・スペシャル」を観た。

その一見ポジティブなタイトルとは裏腹に、SFスリラーというべきか実に不思議なジャンルの作品だ。
ジェフ・ニコルズ脚本監督。出演はマイケル・シャノン、ジョエル・エドガートン、キルスティン・ダンスト、アダム・ドライバー。そしてサム・シェパード。渋いキャスト陣。

ジェフ・ニコルズといえば「テイク・シェルター」だ。強烈な作品だった。毎回マイケル・シャノンを起用している。待機新作がこの「ミッドナイト・スペシャル」で、しかもキルスティン・ダンストも出演ということで非常に楽しみにしていた。

全体気にミステリアスな作品。冒頭からして謎で、少年を誘拐したニュースが流れるモーテルで、マイケル・シャノンとジョエル・エドガートンと少年がそそくさと車に乗り込み出発。真夜中に、暗視ゴーグルで運転しヘッドライトを消して真っ暗。えらく雰囲気たっぷりのオープニング。
観ていくうちに、どうもローカルの教団と関わりがあるらしいこともわかってくる。マイケル・シャノンが少年を連れて急ぐ目的地に何があるのか。追手が迫るなか、キルスティン・ダンストも合流。少年の謎が明らかになって…という話。

質がめちゃくちゃ高いな、と感じさせられる作品。ちょっと前だとM・ナイト・シャマランが登場した頃に、新しい世代が登場した感があった。ジェフ・ニコルズやニール・ブロムカンプ(「第9地区」「エリジウム」「チャッピー」)といった脚本監督の新鋭は70年代後半生まれでまだ30代。徐々に開花するというより最初っから新しい作品をハイクオリティにCGも効果的に使ってドカーンとぶつけて来てる印象だ。

クライマックスに向かうに従い、確かな感動。凄いもんだと思う。
役者も良い。ジョエル・エドガートンが特に良い。アダム・ドライバーは何だか出演作が神がかっている。キルスティン・ダンストはあんなんだっけか。「スパイダーマン」が懐かしいもんだ。

ところで本作については詳細なレビューが他にあり、そちらを参照するのが早いと思う。
映画『ミッドナイト・スペシャル』レビュー(ネタバレあり)

ここでも言及されていて始めて知ったが、タイトルの「ミッドナイト・スペシャル」は実は深いのだった。Midnight Specialというのは「深夜急行」というのがそのままの意味だが、実際はある刑務所を指して作られているprison songである。
もともとアメリカ南部の作者不詳の曲だったが様々な人によるカバーで有名になっていった。シュガーランド刑務所に一瞬あたる深夜急行のヘッドライト。その光に触れた者は自由になれるという噂が広まった…という内容である。

Midnight Special (song) – Wikipedia
「ミッドナイトスペシャル」(レッドベリー&CCR):The Midnight Special ? Leadbelly&Creedence Clearwater Revival

つまり、光は外界への旅路の象徴であり、それが本作ともリンクする。タイトルの背景を知っていればこの映画の捉え方も随分と変わろうというものだ。あいにく観た後に気になって調べてわかったことなのだけど。

深いなあ。

そういえば、ポール・マッカートニーの「Unplugged」にも収録の同曲でも、確かに冒頭で説明をしていた。これまで意識してなかったけど、やっと繋がった。なるほどな。なんだろうjailだのsugar landだのと思ったものだ。

深いなあ。